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壬生寺に着いた莉亜は、朔次郎を待っていた。
莉亜
「コソコソしてないで、出て来たら?……稔麿…」
吉田
「やっぱりバレてたかぁ…流石だね」
そう言って吉田は、木の後ろから姿を現した。
莉亜
「どうしたの?稔麿が会いにくるなんて…」
吉田
「ちょっとね~。莉亜に会いたいなぁって(笑)」
莉亜
「稔麿がそんなこと言うなんて、明日は槍が降るんじゃない?」
吉田
「酷いなぁ…;;まぁ、いいや。ねぇ…何か良い情報は掴めた?」
莉亜
「ん~…あまり;;まだあまり信用されてないみたい…」
吉田
「どういう意味?」
莉亜
「そのままの意味よ。あの鬼の副長さんがねぇ…私を半分信用して、半分疑ってるわ。たまにだけど、監察方の山崎が私の行動を監視してるの…女中になって初めの頃なんて、お風呂と厠以外絶対に私から目を離さなかったのよ…」
吉田
「壬生浪の副長は鋭いからね…あぁ、本当邪魔だよね。土方って…アイツのせいで俺らもあまり動けないんだよ…。あと、もう一人厄介なのが山崎烝だね」
莉亜
「うん…。大したことないと思ってたけど…案外ね。油断したら殺られるわよ…」
吉田
「そうだね。…ねぇ、莉亜?」
莉亜
「何…?稔麿」
吉田
「幕府の犬なんかのところにいないで、帰ってきてよ…」
莉亜
「…………ごめん。今は、まだ…」
吉田
「そっか…」
吉田は悲しそうな表情をした。
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