序幕

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―ズシャァァァ… 肉の切り裂く嫌な音… 辺りには血の臭いが漂う。 「フフッ…」 そんななか月明りに照らされ 不気味な笑みを浮かべるのは 真っ赤に染まった一人の女子[オナゴ] そんな女子にガタガタと震えながら後退りする男が一人いた。 男は辺りに転がっている 死体に躓きながらも 必死に逃げようと していた 「フフッ…また一人、消えたね」 透き通るような 綺麗な声だが 言っている言葉は 男にとって震え上がる程 恐ろしかった。 「たっ助けてくれ!金、金ならいくらでもくれてやるっ…!」 女子にそう言い、必死に助けを求める男… 女子は少し考えてから 不適な笑みを見せた。 「………500両」 「なっ…!!500両だと?!」 今の時代 500両はそうそう手に入らない程の大金だった。 「………分かった。だから命だけは助けてくれ」 男は少し考えたが 500両で命を助けてくれるなら安い、と承諾した。 「じゃあ、今すぐちょうだい?この場でね」 「なっ…」 女子の無理な要求に男は戸惑った。 男の手持ちの金は だいたい30両… 500両なんて金は 1日かけても払えないのに、今すぐになんて、とてもじゃないが払えなかった。 「クスクス…ゲームオーバー」 「げーむ…?」 女子の呟きは男には理解できずにいた。 その瞬間… ―ブシャァァァ 男の首は胴体と離れた。 「……母様と父様、先生の仇…また一人消えた♪」 ―サァァァッ… まだまだ冷たい風が吹き 女子の髪がサラサラと 靡いた。 そして、月が雲に隠れ 女子の顔がうっすらと見えた。 真っ黒な長い、綺麗な髪 透き通るような白い肌 パッチリとした瞳に 長い睫毛 ほんのりと赤く、ぷっくりとした唇 膝上の丈の短い着物に身をつつみ、その裾から伸びる長くて細い足 誰がどう見ても顔を赤く染める程の絶世の美女だった。
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