第一幕

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「しかし、こうも幕府の人間ばかりを殺しているとなると…やはり紅蝶は長州側の人間なのか…」 「ま、そう考えるのが妥当だろぉなぁ……山崎」 土方は天井を見上げ 山崎…と呟いた。 ―カタン… すると天井の一部を取り外し スタッと降りてきた。 「なんや?土方はん」 降りてきた男は 短髪で真っ黒な忍装束を着ていた。 これまた、なかなかの美男だ。 そんな彼の名は 山崎 烝 優秀な監察方だ。 「山崎…まだ紅蝶の正体がわからねぇのか?」 「俺かて頑張っとるんやけどなぁ…なかなか優秀なやつや。何の手掛かりもないんですわ」 「紅蝶は忍なのかい?」 「忍だと?!」 近藤の問い掛けに 土方は声を張り上げる。 「近藤はんの言う通りですわ…まぁ、なんせ正体暴くには何か手掛かりみつけなあかんさかい…もうちょい時間かかりますわ」 「山崎…お前から見て、紅蝶は長州側の人間だと思うか?」 「………そうやろなぁ…なんせ幕府の人間を殺してるさかい、そう考えるのが妥当やろな」 「そうか…」 土方はそう呟き 腕を組む。 「山崎…ご苦労だった。引き続き、紅蝶の情報収集に行ってくれ」 「御意」 土方に言われて 山崎はまた天井裏に 姿を消した。 「ふぅん…アイツが山崎烝…か。要注意だ」 不適な笑みを浮かべながら 天井裏に潜み、土方らの会話を聞いていた人物がいた。 「さてと、帰りますかぁ。早く帰らないと稔麿に怒られるや…」 そう… その人物こそ 白羽 莉亜だった。 .
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