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そのことを知ったバーバラは驚愕と共に激しい怒りが込み上げていた「なんで?なんであんな女と付き合ってるのよ!あんな女 ハリーとは全然不釣り合い。ハリーもハリーよ。アタシが何の為に頑張ってると思うのよ。別れさせてやる。絶対に別れさせてやるから」
バーバラにとって、もはや「飛び級」どころではなくなっていた。
「どうやって別れさせてやろう?あのジェニファーとかいう女どうしてくれよう。」そんな復讐にも似た感情が込み上げていた。
そして数日経ったある時、ハリーは彼女を自宅へ招いた。
ジェニファーの顔を見るのさえ嫌だったが、表面上バーバラは快く迎えた。
バーバラの過剰な自分への気持ちは解っていたが、ついに受け入れてくれたか。兄ハリーはそう思った。実際にはそう思いたかった。
さいわい両親は出掛けていて、夜までは帰らない予定だった。チャンスは今日しかなかった。
バーバラはちょっと脅かしてジェニファーに手を引くように言い渡すつもりだった。だが今はダメだ。ハリーが居ては計画どころではない。
しかしジェニファーと二人きりになるチャンスはきっとある。そう信じてしばし時を待った。まるで獲物を虎視眈々と狙う黒豹のように
ジェニファーとハリーはリビングルームのソファーで何か楽しげに話している。
その時、ハリーが何か買い出しに行ってくるということになり立ち上がった。
ジェニファーもついていくと言ったが、すぐ帰ってくると言ってハリーは飛びだしていった。その様子を見ていたバーバラは早速行動に移すことにした。
彼女はキッチンへ行き、野菜を裁断するための細長い包丁を右手に持って、リビングルームのソファーに座っているジェニファーに近づきかけた。
その時、対面のキッチンルームの扉が開いた。
「お・お前…そんなもん持って何するつもりだ?」
そこに立っていたのは、先程出掛けたはずの兄ハリーだった。
ハリーは妹の様子が普段とは少し違うことに違和感を覚えていたので、5分と立たぬ間に帰ってきていたのだ。
「あぁハリー?えらく早かったわね。ジェニファーさん何か食べたいかな~と思って…」もちろんそれは嘘である。動揺さえ隠しきれない。
少し間が開いた後に静かに兄はこう言った。
「今はジェニファーがいるから、声を荒げるつもりはない。だがもしお前が俺の彼女を少しでも傷つけたら、お前とは兄妹の縁は切る。そしてお前とは二度と話さない。」
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