♣第一章♣

5/6
前へ
/82ページ
次へ
快晴は論理的ではなく直感的に生きてる感じだったが、歩はその逆で論理的にしか思考が働かなかった。 性格も思考も違う二人が何故友達居られたのか?それは互いに持ち合わせていない部分に憧れを抱いていたからかもしれない。 中学校に入る頃、歩と快晴は別々の学校へ行くことになった。 快晴の家族はそれぞれエリートで、父親は医師 母親は某デパートの支配人 5歳年上の姉は慶応義塾の大学生だった。 快晴はできれば、歩と同じ中学へ行きたかったが、両親はそれを許してはくれなかった。 中学に入ると、歩と快晴は何故か疎遠になってしまった。 あれから4年 彼ならこの物体 現在地球上では使用されていないかもしれないこの文字をどう考えるだろう?解明することができるだろうか? 彼を探すことはそれほど難しいことではない。昔くれていた年賀状に快晴の住所が載っているはずだった。 歩は友達と呼べる人はほとんどいなかったので、過去の年賀状を探すことは容易なことだった。 快晴の年賀状には自宅の電話番号が記載されており、そこにとりあえず電話してみることにした。 歩にとって これほどまで積極的 能動的に自分から動いたことはなかった。 だが、今更後に引き返す訳にもいかなかった。 「も・もしもし あ・あの僕は快晴くんと小学のとき一緒のクラスだった青井歩と申します。快晴くんはいらっしゃいますか?」緊張しながら、電話をかけた。 「あぁ快晴なら今外に出掛けています。急用でしたら携帯番号から折り返し掛けさせますよ」 電話に出たのは、わりと若い感じの声だった。電話越しにでも、彼女は気が強そうなイメージは浮かんできた。 「そ・そうですね。僕の番号言いますんでかけてもらってもいいでしょうか?」 やはり挙動不審な言動から怪しまれることは避けられない。自分の番号を言えば少しは信用してくれるかもしれないとも思った。 それから約10分後、歩の携帯電話が鳴った。 「もしもし?歩?なんで今まで連絡くれなかったんだよ?ってか今頃…用件はなんだ?なんかあったのか?」 いきなり掛けてきて質問責め。声は少しトーンが低くはなっていたが、快晴であることは間違いなかった。 それにしても〔なんで今まで連絡くれなかったんだよ?〕快晴は自分を待っていてくれたことにわずかながら感動を覚えた。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加