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小さな家に一つ二つ、あるいは三つぐらいの私と、いつもエプロンをし、小さな体で小さな私を包んでくれる母がいた。 おしゃべりができるようになった私は、 「ママ、パパはいつ帰ってくるの。」 と聞いていた。 そのたびに母は、 「もうすぐで帰ってくるわ。」 と答えていた。 私はそれで満足だった。 しかし、答える母の言葉は少しだけ震えていた。 少し涙ぐんでいたのかもしれない。 だが、私にはその意味がわからなかった。 今日はしんしんと雪が降り続いていた。 外はとても寒かったが、母が柔らかい蒲団を敷いてくれて、そこで二人は寒い夜を過ごした。 左には母がいた。 私の右側は寒いままだった...。
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