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  *****  ひと月ほど前の朝。  空 ―― 端畑 空〔ハバタケ ソラ〕は、今年から通い始めた高校へ行くために、最寄りのバス停へ歩を進めていた。  その途中で事件は起こった。  “何か”が道路に飛び出したのだ。  影の大きさから言って、人間ではない。 きっと、里山に住む動物であろう。  街から少し離れたまだ自然が多く残る地区に住んでいるため、よく見る光景ではあった。  ただ、時間帯が時間帯だ。  通勤の車がたくさん行き交うそこに、躊躇いもなく飛び込んだ“何か”に思わず身体が動いていた。  飛び出した先は、車の目の前。  腕の中に“何か”のぬくもりを感じながら、空は意識を手放した。   *****
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