8人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
*****
ひと月ほど前の朝。
空 ―― 端畑 空〔ハバタケ ソラ〕は、今年から通い始めた高校へ行くために、最寄りのバス停へ歩を進めていた。
その途中で事件は起こった。
“何か”が道路に飛び出したのだ。
影の大きさから言って、人間ではない。
きっと、里山に住む動物であろう。
街から少し離れたまだ自然が多く残る地区に住んでいるため、よく見る光景ではあった。
ただ、時間帯が時間帯だ。
通勤の車がたくさん行き交うそこに、躊躇いもなく飛び込んだ“何か”に思わず身体が動いていた。
飛び出した先は、車の目の前。
腕の中に“何か”のぬくもりを感じながら、空は意識を手放した。
*****
最初のコメントを投稿しよう!