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いつの間にか紅は狐の面に戻り。
空は自分の気持ちが落ち着くまで存分に床の冷たさを味わっていた。
このまま無為に時を過ごしていても仕方がない、とやっと考えることができるようになった空が立ちあがったとき。
開け放たれたままだった扉の向こう側に、タモを持った8歳くらいの女の子がいたのに気がついた。
「お客さん…かな? この時間だとまだ学校じゃねぇのか? どした?」
「今日はお休み」
黒いレギンスの上にワンピース風のTシャツを着た少女は、真っ直ぐに空を見上げて言った。
ポンポンとその頭を撫でてやりながら視線の高さを合わせた空はニッと笑いかける。
「そか。で、どうした? 『万屋』になんか頼みごとか?」
「探してほしいものがあるの」
はっきりと告げた彼女の声は、とても真剣なものだった。
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