序章『ヴォルフ・D・ギルティ』編

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セルシウス  「勿論書類は用意できてはいるけど直接あなたに話したかったのよ」  セルシウスは机の向かい側に位置しているベットに腰を下ろし話し始めた。 セルシウス  「今回の任務は今話題の『紅き破壊者』を『ヤハウェの楯』へのスカウトよ」 ヴォルフ  「『紅き破壊者』のスカウト?」  セルシウスの口から放たれた今回の任務の内容にヴォルフは疑問に思っていた。  前に述べたようにエージェントの任務は要人暗殺と情報収集である、スカウトにはスカウト専門の役職がある。  それなのにその役職の人間にではなくエージェントである自分に与えられたのだ、今までその様なことがなかっただけに疑問に思うのもしたかがない。 ヴォルフ  「何で俺がスカウトなんかしなきゃならないんだ?スカウト専門の奴等に任せればいいだろ」 セルシウス  「確かにね、ただ任務がスカウトだけじゃないのよ」  もったい付けながら話を進めるセルシウスに対して多少イライラし始めてきたヴォルフ、それを楽しむかの様にセルシウスはニヤニヤとヴォルフの顔色をうかがいながら話しを続ける。 セルシウス  「もう一つの任務はスカウトが失敗してしまった場合、『紅き破壊者』の抹殺よ、うふふ、殺すのは得意だから適任でしょ?」 ヴォルフ  「いやな言い方しやがる、それで俺が選ばれたわけか、了解したすぐに現地へ向かう、場所は?」 セルシウス  「城塞都市『ヴァルハラ』」 ヴォルフ  「急いでも一週間はかかるなもう向かうぞ」 セルシウス  「待ちなさいヴォルフ」  任務の内容の説明を受けたヴォルフはすぐにヴァルハラへ向かおうとドアに手を伸ばしたが、セルシウスに呼び止められ彼女の方を向いた。 ヴォルフ  「まだ何かあるのか?書類なら任務の内容を確認したから必要ないぞ」 セルシウス  「違うわよ、抹殺の部分に付け加えがあるのよ」  そう言うとセルシウスの顔付きが先程までのヴォルフをバカにしたような表情から一転し、真剣な顔付きに変わった。  こんな顔をするセルシウスを今まで見たことがなかったヴォルフは一瞬ビクッとしたが、それを感じ取られないよう平静を装っていた。 セルシウス  「抹殺はあくまで長老会が勝手に決めた内容、だから殺すかどうかは貴方自身が決めなさい」
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