序章『ヴォルフ・D・ギルティ』編

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 セルシウスの言葉は『ヤハウェの楯』の常識からかけ離れたものだった。  任務はなにがあろうが絶対に遂行しなければなならない、そこにエージェントの私情がはい込む余地はない、しかし彼女は任務よりも自分の意思を尊重するように言ってきた。  その言葉が嘘や冗談ではなく本気だということは彼女の顔見ればすぐにわかった。 セルシウス  「いつまでも任務任務じゃなく、貴方自身の意思を持ちなさい、貴方はあのクソジジイ共の人形じゃない、それを私に証明してみせて、言いたいことは以上よ、行きなさい」  彼女の言いたいことが理解できていなかったヴォルフだが、今回の任務中に彼女が何を自分に求めているのかを見つける決意をしセルシウスを部屋に残したまま、ヴァルハラへと向かっていった。  そして今に至る バスの運転手  「お客さん、もうすぐヴァルハラに着くけど本当にいいのかい?」 ヴォルフ  「ん、何がだ?」  バスの運転手の突拍子もない質問に呆気にとられるヴォルフ、だがミラー越のバスの運転手の表情は明らかに不安な表情をしていた。 バスの運転手  「何がだって、今ヴァルハラにはあの『ライトニング・ジ・エンド』が潜伏してるらしいじゃないか、そんな危ない場所にお客さんを連れて行くことに気が引けてね」 ヴォルフ  「ああそのことか、だったら気にするな、無理してバスを出してもらったのは俺の方だし、それに俺の目的はその『ライトニング・ジ・エンド』だからな」  ヴォルフの発言にバスの運転手はかなり驚いていた。  その驚きはミラー越の顔を見なくてもわかるくらいだった。 バスの運転手  「おいおい何言ってるんだお客さん!あんた賞金稼ぎなのかい?」 ヴォルフ  「いや、ただのしがない牧師だよ」 バスの運転手  「ただの牧師が何であんな犯罪者に用があるんだよ!?」  そんな話しをしているうちにバスはヴァルハラ唯一の入り口である門の前へ差し掛かった。 ヴォルフ  「運転手さんここでいいぜ」  そう言うとヴォルフは少ない荷物を背負い、バスから降りていった。 ヴォルフ  「運転手さん、ここまで連れてきてもらった御礼に俺の用事を教えてやるよ」  そう言うとヴォルフは不適な笑みを浮かべ、口を開いた。image=377020145.jpg
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