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この世界に神はいない、それがこの男の答えだった。
漆黒の衣を身に纏い、神への反逆を意味する逆十字を背負いし者は闇に紛れ今日も神を名乗る者達の命を刈り取っていく、それがこの男の使命であり生き方だった。
その生き方は世界に反逆するも同じである、だが彼はその生き方をやめない、いや止めないのではなくこの生き方以外知らないのだ。
逆十字を背負いし男の名は『ヴォルフ・D・ギルティ』、神への反逆者である。
長距離移動用の魔導バス、彼はこのバスに揺られながら今回の任務の目的地である城塞都市『ヴァルハラ』を目指していた。
バスの一番後ろの席で彼は今回の任務の確認と、今回の任務に着くことになった経由に思考を巡らせていた。
一週間前
彼は前回の任務を済ませ『ヤハウェの楯』のアジトに戻っていた。
彼は『ヤハウェの楯』の中でもぐんを抜いて優秀なエージェントである、エージェントの主な任務はカンパニーの要人の暗殺とカンパニー内部に侵入している工作員からの内部情報の回収であるため一つの所に留まることはほとんどない。
そんな彼がアジトに戻るのはかなり珍しいことであった。
アジトに戻った彼はまず自分の部屋に向かっていた。
しかし自分の部屋といっても殆どアジトに帰ってこない彼にとって自分の部屋はただの休憩場所にすぎず、部屋の内装は彼が部屋を与えられた頃のままである。
彼が部屋のドアを開けると見慣れた人物が部屋に備え付けてある机の椅子で本を読んでいた。
その人物は綺麗なブロンドの髪、整った美しい顔、そして頭の天辺から覗く二つの獣耳が特徴の美しい女性であった。
ヴォルフ
「勝手に人の部屋に入り込んでなにやってんだ、あんたは?」
セルシウス
「上司が直に出迎えてあげたのに不満だったかしら?」
ヴォルフ
「別に、それで何のようだ?」
彼女はヴォルフ直属の上司である『セルシウス・ハウラン』、キツネの亜人『フォルクス』の女性である。
いかにも不満そうな顔をしているヴォルフに対して、彼女は悪戯な笑みを浮かべ読んでいた本を机に置いて立ち上がった。
セルシウス
「私自らあなたに新しい任務の説明をしようと思ってね」
ヴォルフ
「はぁ?いつも通り書類で済ませればいいじゃねえか、何であんたがわざわざ説明しに来んだ?」
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