remember...

7/18
前へ
/337ページ
次へ
突如響いた声に、辺りを見渡す。 しかしここから相手の姿を見つけることはできなかった。 「……幻聴?」 そう思った私は、再度ベンチに寄りかかり、果ての無い夜空を見上げた。 あんなに輝いていた星達は、きっと地上に落っこちてしまったのだろう。 雪雲に覆われた厚い闇は、なぜか私の心を落ち着かせてくれた。 変わりに、無数の光を放つ地上が、私には煩わしく感じる。 音も無く踊り狂う光の粒に飲まれながら、私はそっと目を閉じた。 再び訪れた、闇。 闇の中に浮かんでは消える残像。 再び顔を覗かせる虚しさと切なさを振り切るために、再度厚い雲に覆われた深い闇を見上げた。 .
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1551人が本棚に入れています
本棚に追加