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突如響いた声に、辺りを見渡す。
しかしここから相手の姿を見つけることはできなかった。
「……幻聴?」
そう思った私は、再度ベンチに寄りかかり、果ての無い夜空を見上げた。
あんなに輝いていた星達は、きっと地上に落っこちてしまったのだろう。
雪雲に覆われた厚い闇は、なぜか私の心を落ち着かせてくれた。
変わりに、無数の光を放つ地上が、私には煩わしく感じる。
音も無く踊り狂う光の粒に飲まれながら、私はそっと目を閉じた。
再び訪れた、闇。
闇の中に浮かんでは消える残像。
再び顔を覗かせる虚しさと切なさを振り切るために、再度厚い雲に覆われた深い闇を見上げた。
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