第1章・駅。。

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"ご乗車ありがとうございます。まもなく到着します列車は、特急「さざなみ」です。白線の内側に下がってお待ちください。" 安田はハッとして時刻表をみた。 自分がのる列車のくる時間である。 これも特急であるが「さざなみ」ではない。 そうこうしているうちに、「さざなみ」が到着した。 なるほど、さざなみと言うだけあって、波の形がその部分だけ切り取られたような水の列車から、水に包まれた魚が乗り降りしている。 波の形も、波乗りをしたらちょうどいいあんばいの波だ。 線路を見れば「波」だけあってびしょ濡れである。 安田が呆気にとられているうちに、「さざなみ」は出発してしまった。 ため息を吐く安田。 しばらくすると、また構内アナウンスが聞こえてきた。 "まもなく、快速「八百万」が到着します。白線の内側に下がってお待ちください。" またも、違う列車の名前。 しかも快速である。 「また違う列車かよ。」 もはや突っ込む気にもならない安田はベンチに腰掛けた。
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