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"ご乗車ありがとうございます。まもなく到着します列車は、特急「さざなみ」です。白線の内側に下がってお待ちください。"
安田はハッとして時刻表をみた。
自分がのる列車のくる時間である。
これも特急であるが「さざなみ」ではない。
そうこうしているうちに、「さざなみ」が到着した。
なるほど、さざなみと言うだけあって、波の形がその部分だけ切り取られたような水の列車から、水に包まれた魚が乗り降りしている。
波の形も、波乗りをしたらちょうどいいあんばいの波だ。
線路を見れば「波」だけあってびしょ濡れである。
安田が呆気にとられているうちに、「さざなみ」は出発してしまった。
ため息を吐く安田。
しばらくすると、また構内アナウンスが聞こえてきた。
"まもなく、快速「八百万」が到着します。白線の内側に下がってお待ちください。"
またも、違う列車の名前。
しかも快速である。
「また違う列車かよ。」
もはや突っ込む気にもならない安田はベンチに腰掛けた。
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