きっと恋だから

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自慢げに言う前田の顔が、凄く可愛くて真っ直ぐ見れなかった。 前田が吹奏楽部の副部長だということは、知っていた。 前田のことは、色々知っている。 でも、知っていることは、人から聞いた情報ばかり。 違う。本当は、前田から聞きたい。 「あれ、どうしたの?」 はっと我に返ると、目の前に前田の顔が迫っていた。 「っ!!」 「大丈夫?」 顔の温度が上がっていくのが、自分でも分かった。 「だ、大丈夫。ごめん、ありがと……」 言い終える前に、チャイムが鳴った。 「あっ、戻るわ。」 「うん」 半分逃げるように、前田の返事を背中に受けながら、自分の席に戻った。 顔の温度はまだ下がらない。 授業の内容なんか、全く頭に入らなくて。 気が付けば、前の方に座る前田の後ろ姿を見つめていた。 肩まである髪の毛を、後ろで一つに結っている。 本当に、本当に、凄く様になっている。 画になるな、と思った。
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