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夏の夜、真っ暗な田舎道を彼ら彼女らは、はしゃぎながら歩いていた。
そんな彼ら彼女らの中で、篠村由佳里はただ独り、胸の奥から押し寄せる孤独に負けないように、精一杯、この夜道を彼ら彼女らと共に笑い会った。
目的地である堤防に着くと、甲斐谷智大が言う。
「みんな、今日のこと、忘れるなよっ」
甲斐谷智大は、真上に広がる夜空を指さした。
「今日は、流れ星が見えるんだっ」
甲斐谷智大の発言に、彼ら彼女らは嬉しそうにはしゃぐ。
そんな中、篠村由佳里だけは素直に喜べないでいた。
「篠村?どーしたんだ?」
そんな篠村由佳里に気付いたのか、甲斐谷智大が話し掛ける。
「え、あっ、ううん。何でもないよ。甲斐谷くん、一緒に見よっ」
「そーか。ま、今日は楽しもうぜっ」
何か誤魔化すように言った篠村由佳里に、少し納得いかないようだが、甲斐谷智大は頷く。
真っ暗な世界から見る夜空は、まるで星が降るようで。
いつからか、篠村由佳里は、甲斐谷智大に恋心を抱いていた。
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