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俺はさりげなく
それをかわして、
もい一度カーテンの外を
そっと覗き見した。
向かいの事務所には
もう涼介の姿が無かった。
客は窓際に
突っ立ったままの
俺の後ろに回り
俺の体を抱きしめた。
外の世界は冬の
厳しい風が吹いていて、
近くのゴミ捨て場から
舞い上がった紙くずが
もともときれいじゃない
街並みをさらに汚していた。
窓のすきまから
空気が流れ込み、
俺と客の間に
冷たい1本の筋を作って
すぐに部屋中に広がった。
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