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黙り込む俺を依然見上げたまま首を傾ける春海。
それがかわいく見えてしまって、自分が嫌になる。
「映画今日までだから和樹くんと見ておいでって彼も言ってたよ?」
「……」
彼女が彼女なら、彼氏も彼氏だな。
アイツもこの子も、俺を『男』としてではなく、『友達』というカテゴリに置いているらしい。
わかってはいても、眼中に入れてもらえないことに悔しさが沸き上がる。
「私、どうしても見たかったの。付き合ってよー」
言うやいなや、俺の返事を聞かずに腕を引き、駅構内へと引っ張った。
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