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春海が見たいと言っていた映画は、こそばゆくなるような恋愛映画で、いかにも女の子らしい選択だった。
チラリと盗み見た春海があまりに真剣に見ていたものだから、それに倣って集中してみた。
そうしたら、主人公と結ばれるであろう男に片思いする女の子に感情移入してしまった。
「和樹くーん」
そんな声に呼ばれて我に返れば、館内はライトが灯いて明るくなっていた。
「あははっ、さては寝てたー?」
「……いや」
言えるか。
恋愛映画に自分を重ねてました、なんて。
「集中したらお腹空いちゃった。ご飯食べよう」
そしてまた、俺の袖を引く。
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