プロローグ

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…。 ……。 ……あれ。 どれだけの時間が経ったのだろう。 どれだけの時間――縛られているんだろう、あたし。 腕時計を見ようにも、腕が頭上に縛られているため見ることができない。 あたしの張り付けられた鉄の柱。 少なくともあたしの生きてきた16年の中で。 鉄がこんなにも。 縄がこんなにも。 邪魔で恨めしく思ったことはない。 口には、白い布で猿ぐつわがしてある。声を出して助けを呼ばないように、だろう。 まあ――もし猿ぐつわが外れていたとしても、叫ぶ気力なんて残っていないのだけれど。
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