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私は目の前で浮かんでいる、紅の勾玉をぼーっと見ていた。
まわりが何もない空間だからか、あれからどれくらいの時間が経ったのかわからない。
何秒、何分、何時間……結構な時間か、はたまたそんなに経っていないのかもしれない。
たぶん横になっていただろう体を起き上がらせ、真っ直ぐ立つ。
「…えーと…」
紅の勾玉は浮かんだまま、何も起こらない。
どうしたものかと困っていると、キラリッと紅の勾玉が一瞬光りだんだんと輝きを増す。
それに呼応するように、私はまたあの鈴の音が聞こえた。
「……もしかして、ずっと聞こえてる鈴の音は…貴方?」
――‥リィン…
まるで、「そうだよ」と言っているように鈴の音が鳴る。
「ここは、どこ?」
私は問うも、紅の勾玉からは反応が無い。
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