113人が本棚に入れています
本棚に追加
「‥‥はぁ。ここがどこなのかわからないし、那岐は居ないし。どうしよ?」
何もない空間。
何も起こらない勾玉。
一緒にいた幼なじみは、いつの間にか居ない。
困ったな‥‥。
「せめて、この勾玉がまた反応でもしてくれたら良いのに…」
そっと右手で紅の勾玉に触れる。
色とは違ってひんやりとした感触。
その心地良さに頬がゆるみ、完全に勾玉を掴んだ刹那――。
――……見つけた
――…異世界の少女…
「…え?……きゃっ!!!」
掴んだ右手から、紅の眩い光りが溢れる。
私は目も開けられず、またもや目を閉じ、無意識に手の中にある勾玉を、両手で包み込むようにしていた。
鈴の音が導くように鳴り出すと、急に何かに流される感覚に襲われる。
光りとともにあたりの風が渦巻いて、私は意識を失った。
.
最初のコメントを投稿しよう!