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「………ん……」
寒い。
最初に感じた寒さに、私は「…くしゅん!」とくしゃみをして目が覚めた。
「――ここ、は……」
もう一度目を開けると、さっきの変な空間じゃなかった。
私はゆっくり体を起こし、あたりを見回した。
「………なに、これ」
見たこともない古い家がたくさん。
江戸時代のような、時代劇で見たことある建物が並んでいる。
道行く人は昔の着物を着ていて、私をじろじろと見ていた。
どうやら私は道の真ん中で座り込んでいたようだ。
だが、そんな視線を気にする余裕なんて既になかった。
「……っ何?どういうこと……え?」
私は、まわりから空へと顔を上げた。
夕闇から薄闇になる頃合い。
「……」
急に不安が襲った。
知らない家、知らない服、知らない空。
夜景を作るあの灯(あか)りが、見当たらない。
どこかの田舎?という考えは、すぐに消えた。
だって、だって、あり得ない。
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