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昔の着物ならまだともかく、あれはあり得ない。
「刀……!?どうして…」
その刀を差した男の人は、私をジロッと睨むと横を通り過ぎる。
よく見ると何人も刀を差してる人がいたり、髷(まげ)をしている。
私は慌てて立ち上がり、右、左、前、後ろと体を動かす。
どこを見ても変わらない景色。
知らない景色。
「と、とにかく、那岐を捜さないと――」
そう言って歩き出した瞬間、向かいから人が歩いてくるのに気が動転していた私は気がつかなかった。
――どんっ!
「ひゃっ!?」
「うわっ!?」
どしん!と地面に尻餅をついた。
相手はよろけただけのようで、すぐに荒々しく口を開いた。
「いってぇーなっ!!何だ貴様っ!!」
「我等にぶつかるとは、いい度胸だなぁ!!」
「…す、すみません!」
私はすぐに立ち上がる。
相手の人達の顔を見ず勢いよく頭を下げた。
相手の人達は機嫌をなおさず、憤慨したように更に叫ぶ。
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