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「ふん…謝るだけで済むと思っているのか!!」
「そうだ!尊皇攘夷派の我等に怪我をさせるとは、貴様許さんぞっ!」
「え…?怪我って……」
私は顔を上げて、ぶつかった二人を見る。
二人とも左に刀を差し、髷をしている。
江戸時代の侍みたいだな…、と思った。
同時に、“尊皇攘夷派”という言葉に疑問が浮かぶ。
…でも…どこも怪我をしているようには見えない。
私はまた、怒鳴られるかもしれないと思いながらも、ぼそりと呟いた。
「どこも怪我してないように見えますけど‥‥」
その呟きが聞こえたのか、二人は一瞬呆然としたが、顔を真っ赤に染め上げわなわなと震え出した。
(しまった…!)
後悔しても遅い。
侍の格好をした二人は刀に手をかけ、あまつさえ抜いたのだ。
「ひぃっ!?」
「我等が嘘を申していると思うのか!?」
「だ…だって、」
「可笑しな格好と、不思議な色の瞳をしているが、貴様……異人だな?」
「へ?」
異人?
なんだろ、それ?
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