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“異人”――外国人のこと、だよね?
確か…。
「(…ん?そういえば、さっきの尊皇攘夷の尊皇って言葉…。江戸時代で使われていた、言葉だよね。
那岐が教えてくれたけど、その時代では外国人の事を異人と呼んでたって…)」
聞き慣れない単語がどんどん出てくる。
しかし、ゆっくり考える時間などくれるわけもなく。
一人が一歩踏み出す。
「異人?髪も瞳も異人には見えないが、見えると言えばその格好か。洋装しているのは、異人だけだものな」
「え?」
「だろう?異人なら、尊皇派の我等が亡き者にしても、平気というもの」
「ちょ…っ」
「むしろ好都合だ。なぁ…?見知らぬ異人?」
真っ赤な顔から、嬉しそうな顔にみるみる変わると、侍の格好の…もう侍でいいや!
が一歩、一歩と刀を構え私に近付いて来る。
なんか理由がこじつけに聞こえるんだけど……。
もちろん私は冷や汗を一つ流し顔をひきつらせ、一歩、一歩後退する。
「ちょっと、あの、ぶつかったことは何度でも謝ります!ごめんなさい!
でも、私、異人なんかじゃないです!正真正銘、日本人ですっ!」
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