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必死にそう叫ぶも、侍の二人は聞く耳持たず。
ニヤニヤ笑いのまま、とうとう一人が刀を振り上げる。
キラリッと月に反射する刃。
(いやぁぁっ!!!)
両腕で顔を守るように交差する。
…その時。
――ガキィィ…ィン!
「……こんな町中で、随分と危ないことをするな?」
「…なっ!?」
「…にっ…!?」
何かがぶつかり合った音が響き、少し低めの男の人の声が届いた。
続いて侍二人の驚いた声。
私は気になって、恐る恐る両腕の隙間から、目を開けてみる。
「……ほえ?」
バサリッと何かが目の前を覆っていた。
何だろうと両腕を退かし、よく見ると藍色の羽織だった。
「おい」
「……」
「…チッ……おい、後ろのお前」
「…は!はい!」
藍色の羽織を着た人が、前を向いたまま私に話し掛けていた。
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