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「…それはそうと、部活は決めたの?」
那岐がちらっと私を見て聞く。
「うーん…、実はまだ」
「だろうと思った」
ひらひら…。
葉桜になりかけている桜並木道を、那岐と見上げながら話す。
「那岐は決まった?」
「俺は入らないよ」
「え~~!?何でっ!?剣道部入んないの?」
意外だ!と、私は那岐の左腕の制服を引っ張る。
那岐は呆れたように、葉桜から私に視線が向く。
「あのねぇ……。中学でしてたからって、高校でもすると思わないでよ」
「う゛…。でも、もったいないなぁー。あんなに強かったのに……」
「俺より。翼はどうなの?中学で吹奏楽入ってたんなら、高校でもやるんでしょ?」
「ん…?うん…」
きょとんと那岐を見つめていると、那岐が首を傾げ「どうかした?」と聞かれた。
そう。
私は中学では吹奏楽部に入っていて、三年間クラリネットを吹いていた。
先輩、後輩にも恵まれていたし、クラリネットも好きになれたから楽しかった。
だから、那岐が言う通り、高校でも吹奏楽部に入るんだろうと思われるんだけど……。
そんな那岐に苦笑いを浮かべる。
「ううん、高校ではどうするか決まってないの。せっかくなんだし、他の部活もいいなぁ~…と思って」
「……ふーん……」
少し納得いかないと言わんばかりに、半目で見てくるので、私は那岐の制服を掴んだまま慌てて先を促す。
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