第1話.鈴の誘(いざな)い

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「……ほ、ほら!早くしないと遅刻しちゃうよ!」 「はいはい……」 「はいは一回………あれ?」 今、木の下で何か光った…? 何だろう? ――……リィ…ン 鈴……? 「‥‥っと…翼…?」 いきなり止まった私に、引っ張られていた那岐がぶつかりそうだったと文句を言うが、私は気にせず那岐の制服を掴んだまま何かが光った場所に歩く。 …はずだったのだけど。 「?」 「…待ちなよ。どこ行くの?」 那岐に左手を掴まれて動けなかった。 私は背の高い那岐を振り仰ぐ。 「あそこに何か光る物があるみたいで、それを取りに行こうと思ったんだ」 「光る物…?」 怪しむように片目を細めて言うと、那岐は私の手を放し、私が指さした方に向かう。 「……あれかな?」 そこは私達がいた所からさほど離れておらず、桜並木道でも一際大きい桜の木だった。 ――‥リィン…リィン…… 「那岐、ま…待って」 また鈴が聞こえた。 今度は強く。 それでかな…? 急に不安になって、少し離れた那岐の背中の制服の裾を掴んでいた。 .
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