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「そんだけ…?」
「空くん手袋ってどこだっけ」
立ち上がろうとすると、強く握って腕を離そうとしない彼
よく見ると膝に涙が落ちてシミになっていた
「ばか…きらい…」
「空く」
「なんで…いぢわる」
「え、いや…」
「…手ぶくろあっちのたなの中」
泣きながら腕を離して部屋の方を指差す
やってしまった
一週間会えないというのに
泣かせてしまった
「ごめん…空くん」
咄嗟に抱き締める
明日とか明後日とか。
会えない時間の方が
俺も空くんも淋しいだろうから
初めての事に戸惑って
今日は出来るだけ普通でいようって
そうじゃない。
温もりを感じられる間に
何度も言わなきゃ
「会えないと寂しい」
「…っ」
「行きたくないなぁ…っん」
不意に唇を塞がれて
柔らかい舌に歯をつつかれる
えっ
ちょー積極的…
なんて思ってたら音もなく熱が入り込んで来て
「空くん…」
「ん…っ」
離れた唇を惜しく思いながら
小さな体を思いきり抱き締めた
「まじ、行きたくない」
重なり合った鼓動を感じて
寂しさが込み上げる
空くんのご飯も
チューもえっちもあの笑顔も
二人で寄り添って寝るのも
一週間おあずけか…
「…ふふ」
「なんで笑うの?」
体を離して覗き込んだ
涙の跡が部屋の灯りに反射して綺麗
「なんで……すきだから」
好きだから。
そう言って見せた笑顔の方が綺麗だった
end
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