655人が本棚に入れています
本棚に追加
「やきもち?かわいいなぁ~」
意識は割としっかりしてるから
そんなに酔ってはいないのかもしれない。
「溶けたら不味いだろ」
「ふふ、うまいよ?」
自分だけのモノにしたいとか
連れて帰って閉じ込めたいとか
俺以外と会話を交わすのだって
視線が絡むのだって嫌だ。
そうやってさ、俺の想いも
そのアイスみたいに
綺麗なもんじゃないんだよ。
「物好きだな」
「…よくゆわれる」
「変なもんばっか好きじゃん」
変なものとか、変なこと?
気持ち悪い魚とか
可愛いっていうし。
寝方変だし。
「…いーじゃんかぁ」
「拗ねんなよ」
「すねてねぇし」
そーゆうのが拗ねてるっつーの。
でも、そんなのも可愛い
膨れた頬に思わず触れようとした手を引っ込めた
「やす?」
もう本当
愛しくて仕方ないんだよ。
こんなにも
泣きたくなるくらい。
「りーだー」
りーだー
おじさん、大野さん…
…空
「やす…だいじょうぶ?…どっかいたい?」
痛いよ。
心が捕まれたように痛い。
いつまで待てば
俺を好きになんの?
いつ俺に気付いてくれる?
「大丈夫。はやく食えよ」
多分
一生吐き出せない想いを
ビールと一緒にまた飲み込んだ。
end
最初のコメントを投稿しよう!