4573人が本棚に入れています
本棚に追加
「気づいたら私も大きくなってて……友達もいなくて……、でも迷惑はかけられなくて……!」
ティアラの瞳が再び潤みだす。
そういえば……、シルさんが言ってた。
"お嬢様は見えない殻に閉じこもっている"って……。
ティアラはずっと、"自分はお嬢様なんだ"という意識にとらわれてたんだ。
「でもね……」
不意に、俺の手を握るティアラの力が強くなる。
「タイチが変えてくれた」
「……俺が?」
ティアラの口から出てきたのは、紛れもなく俺の名前。
「私ね……タイチには何も気兼ねしないで接しれた。タイチの前では、素の私でいられたんだ」
そういやこんな事も言ってたな……。
"タイチ君が来てから、お嬢様は変わった"
「タイチは私にいろんな事を与えてくれた。泳げるようになったし、大切な友達も作れた」
ティアラの泣き顔が、少しずつ笑顔に変わっていく。
最初のコメントを投稿しよう!