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眉は寄っていて、唇をキツく噛んでいる
ノッポのくせに華奢な体は、少し震えているようにも見えた
咲「………ごめん。ちょっと外行ってくる」
タオルだけ持って立ち上がる
澪「クス。いってらっしゃい」
夏「一時間で帰って来いよ」
二人の声を背中に聞きながら、ショックを受けたような顔をした陽介の手を取って部屋を出た
陽「さ、咲良っ…?」
戸惑いを隠せないような陽介の声
咲「男のクセに泣かないでよ、馬鹿」
そう言って後ろ手にタオルを渡せば、小さく「ありがとう」と聞こえた
全く…、本当バカなんだから
少し歩いて廃工場の外に出る
影になっているシャッターの前に座ると、陽介も恐る恐る隣に腰を下ろした
だから私は野獣か
陽「怒ってる…?」
咲「そうね」
陽「…呆れた?」
咲「そうね」
陽「…別れたい…?」
咲「そうね、是非」
ニッコリと笑って陽介を見てやれば、陽介はまた顔を歪めて俯く
だけど、すぐに私を捕まえるように抱き着いてきた
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