お客様

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働き始めて間もない頃。 凄いお客様に出会った。 いつもの様にホテルに行き 時間を聞いた。 若い方だった。 「何分にされますか?」 私は笑顔で聞いた。 「何分がある?」 お客様はそっけなく聞いてきた。 「料金表…えっと…料金表どこだっけ?…あれ?どこ?……あ……持ってくるの忘れてるー」 料金表を忘れて焦る私を見て笑われた。 「電話して聞きますね。ごめんなさい」 私はすぐにお店に電話をした。 「すみません。料金表忘れて…コースと金額教えて下さい」 お店から言われて声に出して復唱して電話を切った。 お客様は 「じゃあ…マックス!」 と言った。 「え?マックス?ま、ま、マックス?」 驚く私に 「そう。マックス。1番長いやつ。いくらだったっけ?」 そう言って財布からお金を出してきた。 私はお店に電話をして 「マックスで。」 と言ってしまい 「え?」 と言われ 「あ、1番長い時間…」 と言い直した。 完全にテンパっていた私。 お店から言われた金額をお客様に伝えた。 お客様は平然とした顔でお金をテーブルの上に置き 「確認して」 と一言だけ言った。 「はい。有難う御座います。」 私はこの時 3時間何したらいいの? 話しにくいし 何かテンション低いし 何で3時間なの 誰か助けてー と思っていた。 このお客様は本当に凄かった。
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