凄い人

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お風呂をためている間 彼はコーヒーを入れてくれていた。 ソファーに座りタバコを吸っている彼。 「ありがと」 私は彼の入れてくれたコーヒーを飲んだ。 身の上話は嫌。 同情されたくない。 それに… 母親として この仕事をする事に 罪悪感でいっぱいだったから。それを更に追い詰められている気がするから だから私は聞かれたら答えるくらいで 自分から話はしない。 早くお金貯めて 辞めたいんだもん。 最初と同じ無言が続いて 耐えられなくなった私は 「名前教えてー?」 と聞いた。 返事はすぐに返ってきた。 「やだし。俺自分の名前嫌いだし。」 「何で?いいじゃん!」 偽名でいいんです… 誰も本名名乗れなんて言ってません。 そう思っていると 「アツシ」 ボソッと言われた。 「偽名でしょ?」 笑いながら聞く私に アツシは 免許証を見せてきた。 「これでいい?」 そう言うアツシに 「マジだ。てか免許証まで見せてくる人初めてなんだけど~!感動~」 偽名で良かったのに… そう思いつつ 「じゃあ…あっちゃんって呼ぶ~」 私は甘えた感じで言った。 「ええで!自分は?マリアじゃないだろ?」 げっ… 考えてなかった。 そりゃ聞かれたら聞き返すよね… 本名言うか 言わまいか 悩んだ末 「マイだよ」 本名を言った。 「本当かいな」 人は初対面の人に対して 疑う生き物です。 私が疑ったのと同じです。 意地になり 「本当だし!ほら!」 アツシと同じ様に免許証を見せた。 納得した様子のアツシ。 お風呂場からお湯が流れ出す音が聞こえて慌ててお風呂場に行った。 「あっちゃんヤバい~!お風呂洪水警報!」 お風呂場から叫んだ。 3時間を上手く使う為とアツシからの告白を避ける為に無い頭を使いながら 終了時間に近付いた。 終了10分前の電話がかかってきた。 わーい! やっと帰れるー! が… 甘かった…。 「延長」 アツシから言われた。 「へ?」 呆然とする私。 この人… アツシは何者?
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