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次第に遠ざかっていく星空。
聞こえなくなる宵月さんの声。
――代わりに、どこかで聞いたその声がまた話しかけてきた。
「まーったく……あの後どこをほっつき歩いているかと思ったら……こんなトコに迷いこんでいましたのね」
あの時の……角女、か。
「角女ってなんですの!きちんと名前で呼びなさいな!」
あいにく名前を知らない。
「私の名前は――」
だが、知りたいとも言っていない。
「聞けや!!」
何がどうなっているのか。
僕は蹴っ飛ばされたまま空中を飛んでいるらしい。
僕を蹴っ飛ばしたえせダイエット女と共に。
「私の名前はメアですのっ!!
あんたねぇ。命の恩人に失礼だと思いませんの?」
……勝手に他人の心を読む人間を恩人だなどと崇めない。
「……あら?気づいていましたの。
ま、読めるって言ってもあんたの表層意識だけだから安心しなさいな」
……それに一つ気になる事も言っていた。
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