いーち……

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  「……ん?」 ――“予定外の者が、こんなトコで死んでは困る”、と。 「ふーん……。あんた……意外としっかり者ですのね」 ……予定外の者……という事は……予定されている者もいるという話じゃないか? 「その通りですわ」 僕の知らない予定がある、という事は……やはりこの世界は僕の知らない事情によって構成されている、という事だ。 つまり、僕の夢の世界じゃない。 「半分外れ、ですわね」 半分当たり、と言えばいいのに。 ケチくさい淫乱コスプレ女め。 ゴンッ! 殴られた。 ――で? 「で、とはなんですの。もう一発殴ってほしいんですの?」 ――死ぬ予定ってのは誰の事なんだ。 宵月さんの事なのか。 「……そんな事訊いてどうするんですの?」 「催眠術師は、興味深い事には徹底的に首を突っ込む」 「……はぁ……また変な人間が迷いこんできたもんですわね」 少し、何かを考え込むような表情を見せたメアとかいう女。 が――やがて、まぁいいか、とかいうリアクションであっけらかんとそれを口にした。  
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