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「愚か者。
人様の事情の全てが解けた、なんていうのは知ったかぶりの傲慢だ。
そんな生意気な口をきく高校生男子がいたらビンタしてやりたい」
「その発言……ミステリー好きな方々から非難がきそうっスね……」
「知らん。催眠術師は探偵とは違う」
そう、催眠術師はダラダラと推理なんてしない。
分からない事は無理にでも分かった事にすればいいのだ。
「で……どこに出かけるんスか?」
「そんなものは決まってる。
さっき猫田が報告してくれた場所さ。
ここ最近毎日宵月さんはそこに通っているんだろう?」
「え……はい、まぁ……」
「それと――」
「?」
「猫田が演劇部に行く時にいつも持ってる例のポーチ。
あれも持ってきてくれ」
僕の指示に猫田は色々と?マークを頭に浮かべていたようだったが……それでも「うぃっス」といつものように返事した。
そして僕も椅子から立ち上がる。
――瞬間――胸に強い痛みが走った。
昨晩……宵月さんに触った時に黒い剣が刺さった辺り……。
『――それ。そのままにしておいたら、マズいですわよ。
できるだけ早くなんとかしないと――』
ああ……そんな事をあのメアとかいう角女が言ってたっけな。
朝起きて確認してみたら案の定真っ黒なアザになっていた。
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