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王の剣でBランクになれるのであれば、他ギルドではそのランクの二つから三つ上のランクにいけるであろう強さだ。
「で。話を繋げるわね」
ネリーはビシッとケータを指差した。
「あんたにこの村は似合わない。王都へ行きなさい!」
「……えー……」
「えー、じゃない!!」
ネリーの目はさらに真剣になる。
そして、同時に悲しみも宿っていく。
「本当、驚いたんだから……私のような紛い物じゃなく、本物を見た気分……」
王の剣でBランクになったのだからそれこそ、並々ならぬ努力をしてきたのだろう。
しかし、限界も悟ってしまった。
これ以上、強くはなれない、と。
そこでケータを見てしまった。
先の見えない強さを。
だからこそ、ネリーは怒った。
ネリーは初めてケータが戦った様を見たのだ。
知識はなく、あどけない顔つきの少年(自身では年齢は25と言ってはいたが)、精神年齢は確かに高そうであり、装備は凄そうとしかわからなかったが、それだけである。
だが、蓋を開けて見れば、最低ランクの魔物を討伐した。
たったそれだけでわかる人外な動き。
つまりはネリーにとってケータは、あべこべな存在、または、何かしら嘘をついている存在なのだ。
力は強く知識はない、それでいて一人旅。
だが、ネリーの怒りの中には、嫉妬という感情が一番だったのかもしれない。
そもそも嘘をついていたとしても、ケータはこの閉鎖的な村人達から若干受け入れられているという事実がケータは悪しき存在ではないと窺えた。
それは、ちょくちょく村人達の手伝いをしている姿がネリーの道具屋から、よく見かけていたからだった。
ケータにとって手伝いはどちらかというと善意というよりは、暇だったからという理由であったとはネリーは知らない。
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