第二話 決意、旅立ち

6/8
前へ
/35ページ
次へ
(……ここにいてもみんなに迷惑をかけるばかりか……でもなぁ) ケータはわかっていた。 前に進まないと、何もわからないことを。 だが、同時に怖いという感情もあった。 今の生活――ドゥルーに甘えているところが目立つが、 それでもなんとか苦労してようやく生活しているのだ。 それをまた一からと思うと憂鬱であった。 「行きなさい。あなたぐらいの力があれば、助けられる人が大勢いる」 が、ネリーのまっすぐ見てくる目に、すぐに負けた。 「……わかった」 ケータの返事にネリーは笑顔を見せる。 「がんばりなさい」 「……はぁ」 返事をため息で返す。 それでも、ネリーは笑っていた。 「おおい、ケータよぉーい」 それから数十分後だった。 村の隅っこで体育座りしていたケータに、 村人が集まりだす。 「ドゥルーさん、みんな……」 「寂しくなるなぁ」 ケータは少し泣きそうになった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加