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(……ここにいてもみんなに迷惑をかけるばかりか……でもなぁ)
ケータはわかっていた。
前に進まないと、何もわからないことを。
だが、同時に怖いという感情もあった。
今の生活――ドゥルーに甘えているところが目立つが、
それでもなんとか苦労してようやく生活しているのだ。
それをまた一からと思うと憂鬱であった。
「行きなさい。あなたぐらいの力があれば、助けられる人が大勢いる」
が、ネリーのまっすぐ見てくる目に、すぐに負けた。
「……わかった」
ケータの返事にネリーは笑顔を見せる。
「がんばりなさい」
「……はぁ」
返事をため息で返す。
それでも、ネリーは笑っていた。
「おおい、ケータよぉーい」
それから数十分後だった。
村の隅っこで体育座りしていたケータに、
村人が集まりだす。
「ドゥルーさん、みんな……」
「寂しくなるなぁ」
ケータは少し泣きそうになった。
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