第二話 決意、旅立ち

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放心状態のケータに半ば無理やり荷物を持たせると、 みんなに肩を持たれて村の入り口まで連れて来られた。 村のみんなからは、 荷物は遠慮して、 動かないのは自分達の言葉に感動して立てないと判断された。 なのでケータ以外ニコニコしていた。 「いってらっしゃい!がんばってな!!」 「……はぃ」 ケータの声はめっちゃちっちゃかった。 (今時のサンタさんでもこんなに持たないよ、これぇ!!昔のも知らんけど!!) ケータの肩には、灰色の布袋が三袋。 一袋には寝袋や小物、 残りは食材だった。 大きさは担ぐぐらい、といったところか。 ともあれ、ケータは旅立った。 村から見える道は、両脇に木々。 それ以外はない。 そして、都まで歩いて三日。 ゲームだと一分から二分。 その事実がケータにため息を吐かせた。 「……ようやく来たわね」 村から出発して、数分。 だらだらと歩いていると、ネリーが、 木に寄りかかって待っていた。 「ネリー!!」 ケータは掴みかかるかのように、 ネリーに詰め寄った。 「なによ」 対してネリーは、腕を組んだままである。 「オレにも心の準備ってものがなぁ!!」 「うるさいわね!ほらっ。がんばってきなさい」 ネリーは、地面に置いてあった布袋を渡す。 「これは?」 「後でひろげなさい。……ケータ、色々聞かないし、あんたのことよくわからないけど……そうね……期待してるわね」 ネリーはそう言うと村へと歩いていった。 「……ああ!」 ケータはネリーの背中にようやく笑顔を見せた。 (やけに子供扱いされるし、変な村だったけど……期待、ねぇ。はぁ、まぁ、なんか頑張ろ) ケータは王都に向かって歩き始めた。
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