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村の名前はフランシスカ。
何もない小さな村、特に栄えたものもなく、静かな農村である。
「ネリー!薬草取ってきたぞ!!」
そんな小さな農村の外れ、黒の鎧を纏った少年が薬草片手に道具屋を訪れた。
年の頃は十七、十八歳くらいであろうか、少しあどけなさが残る顔つきに、肩あたりまで伸びた黒髪は少しボサボサだった。
「……また薬草?じゃあ一つ一ゴルドね」
その店主、ネリーはその少年に向かって大きくため息をはく。
「二ゴルドだろ!?」
「一ゴルドよ」
ネリーはいつもポーズ――両肘をつき、ダルそうに頬に手を当てている。
赤色の髪、ツインテールもどこか元気がなさそうである。
「また値下げかよ……」
「ケータ……あんたね、うちを薬草で潰す気なの?」
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