第三話 王都への道のり

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「その子を放せ!!」 まず、ケータの目に見えたのは若い男だった。 白を基調とした、旅人の服と呼ばれるゆとりのある服を着た、 薄い青色のサラサラヘアーのイケメンだ。 剣を構えている。 「はっはぁ!ここまで追って来たか!!」 次に見えたのは、 薄汚い男の背中とその男にお姫様抱っこで抱えられているだろうショートカットのこれまた金色な髪の少女――だと思われる後頭部。 「自分が何をしているのかわかっているのか!!」 「わかってますよぉっと」 男は軽口を言いながら、手を上げた。 (うわ、囲まれてんじゃん) ケータは影に隠れながら、 様子を伺っていた。 手を上げたのは合図で、薄汚い男の仲間であろうか。 若い男に気づかれないように、 少しづつその包囲網を縮めていった。 (はぁ、攫われた少女の救出ミッションね……) この世界、ケータの知るゲーム内の世界には、 大筋のストーリーとは別に、ミッションと呼ばれるサブストーリーがあった。 そして、そのサブストーリーをこなしていくと、 様々な人間模様や恋の行方などより深く楽しめる仕様になっている。 (ていうか、あいつ一人かよ……) ケータの知っているこのミッションは仲間と協力して、 こなす内容になっているはずだった。
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