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「薬草で潰れるって……」
「うっさいわね。仕方ないでしょ?」
先にも述べたが、フランシスカは何もない小さな農村である。
そこの道具屋が栄えるわけもなく、細々とやっているのだ。
ネリーの腰かける椅子の後ろに、
何個か大きな布袋があるばかりで品揃えもあまりいいとはいえないのが現状であり、彼女自身布で作られた茶色の服を着ており、その服もあまり綺麗とは言えない様子である。
「あんたがこの村に来て毎日毎日、薬草ばっかり売るから余ってるのよ」
当然、傷の回復を促進する薬草も必要ではあるが、この村にそれはあまり必要がないものであった。
「……薬草は四ゴルドのはずなのに……」
ケータの呟きは、ネリーの睨みとともに消える。
ガシャガシャとケータの鎧が擦れる金属音は、いつまでも悲しく響いていた。
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