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「おぉい、ケータやい」
「あっドゥルーさん」
ケータの前から歩いて来たのは恰幅のいい男性。
「今日も泊まっていくのかい?」
頭にオレンジのターバンに、白いシャツ――ドゥルーと呼ばれた男性の職業は宿屋の店主。
褐色の肌に上を向いたちょび髭は、恰幅もあることも含め、若干胡散臭い。
「はい……けど……」
ケータは片手に持っている布袋を見る。
本来なら足りているはずだったゴルドが、その中には申し訳なさそうに七枚入っているばかりである。
「ゴルドがないのかい?馬鹿だな、気にしなくていいぞ」
ドゥルーは疑いたくなるような気のいい、いや、良すぎる性格をしていた。
事実、ケータは何度も疑いをかけたが、ことごとくそれはただの善意だと気付かされた。
(こんな人……あの世界には一人もいなかった……)
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