序章

5/7
前へ
/455ページ
次へ
「ははははっ・・でも、今の話をキルハ様に聞かれたらヤバいぜ。」 「もうジジイはうちに帰ったさ。」 「それよりさあ、お昼食べたら、みんなで村の外れの川に遊びにいこうぜ。」  仲間のひとりがロビンを誘った。 「悪い。オレ、パス。」 「なんで?天気もいいし、川で魚捕りでもしようよ。」  「今日はスタールさんに剣の稽古をつけてもらう日なんだ。」 「へえ・・・まだ続けてたんだ?」 「珍しいな、ロビンがそんなに熱中するなんて。」 「オレだってやる時はやるんだよ!とにかく、そういうわけだから、パス!また今度な。」  とりつく島もないロビンの態度に、友達たちはロビンに別れを告げ、講堂から出て行った。 「さてと、オレも帰るか。うち帰って、メシ食って、スタールさんのとこに急がなきゃ。」  仲間たちの後ろ姿を見送ったロビンも、やっと席を立ち、講堂の出口へ急いだ。  その時、出口付近に集まっていた女子たちが、ロビンに声をかけた。 「ロビーン、またねぇ!」 「おう!またな。」  キルハには悪態をついて見せるロビンも、同年代の子供たちには人気があった。  明るく元気で、男女分け隔てなく接するロビンに、女子たちも気軽に声をかけてくる。  大人たちから見れば、手のかかる『悪ガキ』でしかないが、子供たちからすれば、どんな問題にも果敢に挑むヒーローのような存在なのだ。  大人たちがキルハを頼るように、子供たちはロビンを頼りにしていた。
/455ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加