陽だまりの君と戸惑いの従士

4/7
前へ
/7ページ
次へ
「いただきます」 「んー、やっぱ優くんの作るご飯は美味しいなぁ。」 咲は満面の笑みを浮かべて言う 「ふふ、お嬢様はいつもそう言ってくれますね。励みになります」 「んもー、お世辞やのうて、ほんまに美味しいんやって!!」 優にあしらわれたと思った咲は、頬をふくらせながらぷんぷんと抗議した 「いえ、そういうつもりで言ったわけでは・・・申し訳ありま」 「謝らんといてよー。なんですぐ謝るん?別に悪いことしてへんやん。アレや。優くんは褒められるのに慣れてへんだけやん」 優の謝罪をさえぎって咲は言った 「こういうときは、素直にありがとうって言えばええと思うなー」 咲の表情はすでにいつもの笑顔に戻っていた。 それにつられて優も笑う 「ふふ、そうですね。ありがとうございます」 「そんでなー」 ぽりぽりとたくあんを食べた咲が切り出した 「優くん。今日お出かけ行こー」 「え?」 「優くんはもう課題も終わってるんやろ?それともなんか用事あるー?」 「いえ、えっと、屋敷の掃除と鍛錬と・・・」 「よし、じゃあ行くの決定やね」 「えぇ!?」 優の述べた予定を無視して、咲はお出かけ決行を宣言した。 「だって、お掃除は優くんしょっちゅうやってるし、ヒマがあれば大概トレーニングやろ?なら大丈夫やん。やらなくちゃならないことってわけでもなしー」 「しかし・・・」 「行ってくればいいよ」 そこへ、咲の父正博がやってきた。 「旦那さま」 貫禄がありながらも、全てを受け入れるようなおおらかな雰囲気をまとう人物であった。 「君はいつも自分に厳しすぎる気がするね。それを悪いことだとは言わんが、時には年相応に遊んでもばちは当たらんよ」 「・・・では、お言葉に甘えて。お供いたします」 「やたー!さすがお父様―!」 咲は諸手をあげて大喜びした 「おっ、お嬢様!まだ食事中ですよ!!」 そんな咲を慌てて優がなだめる (ちょっと強引やったかな?ま、結果オーライってやつやな) そんな二人を正博は優しく見つめた (本当にこの子は・・・頑固というか、厳しすぎるくらいに禁欲的だからな。もっと自由に生きてもいいものを・・・) 正博は軽く頭をかいて苦笑いした。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加