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「いただきます」
「んー、やっぱ優くんの作るご飯は美味しいなぁ。」
咲は満面の笑みを浮かべて言う
「ふふ、お嬢様はいつもそう言ってくれますね。励みになります」
「んもー、お世辞やのうて、ほんまに美味しいんやって!!」
優にあしらわれたと思った咲は、頬をふくらせながらぷんぷんと抗議した
「いえ、そういうつもりで言ったわけでは・・・申し訳ありま」
「謝らんといてよー。なんですぐ謝るん?別に悪いことしてへんやん。アレや。優くんは褒められるのに慣れてへんだけやん」
優の謝罪をさえぎって咲は言った
「こういうときは、素直にありがとうって言えばええと思うなー」
咲の表情はすでにいつもの笑顔に戻っていた。
それにつられて優も笑う
「ふふ、そうですね。ありがとうございます」
「そんでなー」
ぽりぽりとたくあんを食べた咲が切り出した
「優くん。今日お出かけ行こー」
「え?」
「優くんはもう課題も終わってるんやろ?それともなんか用事あるー?」
「いえ、えっと、屋敷の掃除と鍛錬と・・・」
「よし、じゃあ行くの決定やね」
「えぇ!?」
優の述べた予定を無視して、咲はお出かけ決行を宣言した。
「だって、お掃除は優くんしょっちゅうやってるし、ヒマがあれば大概トレーニングやろ?なら大丈夫やん。やらなくちゃならないことってわけでもなしー」
「しかし・・・」
「行ってくればいいよ」
そこへ、咲の父正博がやってきた。
「旦那さま」
貫禄がありながらも、全てを受け入れるようなおおらかな雰囲気をまとう人物であった。
「君はいつも自分に厳しすぎる気がするね。それを悪いことだとは言わんが、時には年相応に遊んでもばちは当たらんよ」
「・・・では、お言葉に甘えて。お供いたします」
「やたー!さすがお父様―!」
咲は諸手をあげて大喜びした
「おっ、お嬢様!まだ食事中ですよ!!」
そんな咲を慌てて優がなだめる
(ちょっと強引やったかな?ま、結果オーライってやつやな)
そんな二人を正博は優しく見つめた
(本当にこの子は・・・頑固というか、厳しすぎるくらいに禁欲的だからな。もっと自由に生きてもいいものを・・・)
正博は軽く頭をかいて苦笑いした。
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