プロローグ

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薄暗い一室。肌寒いこの場所はどうやら地下にあるようだ。外部から光は一切入らないため、この場所を照らすのは天井に設置された唯一の小さなランプのみ。 レンガ造りの壁にそれを網目状の塀のような物が出入りを硬く禁じている。 ここはスタン国にある最も危険な監獄。危険度が最高クラスの者が収容されている場所。 「囚人番号099、夕飯だ」 頑丈そうな鎧を全身に着込んだ男の兵士が手にトレーを持ちながら牢屋の前で止まった。 「あ?もうそんな時間かよ」 囚人番号099と呼ばれた男は当然の如く牢屋の中にいる。両手を天井から伸ばされた鎖で繋がれ、足は重りの球体に繋がれている。 「もう20時だぞ?寝ぼけていたのか?」 ここは刑務所の中でも最下層に位置しており、ここにいる人物こそが収容されている囚人の中で最も危険とされている人物である。
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