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「いつ出られるかなんて俺が知るわけないだろ。出られるかすら分からねぇんだからな。確かにあんたとは長い付き合いだよな~、もう10年以上か?」
「ああ、そのくらいだ。確かお前がここに来たのはあの‘伝説の戦い’が起こる少し前だったからな」
伝説の戦いとは、ライルの両親が一時的な平和をもたらした戦いで、この世界で知らぬ者はいないほど有名な話である。
「お前も国に妻と息子を残しているんだろ?」
「そうだ。何だ?2人に会いたいって言ったら出してくれるのか?」
まさか、そう言ってトレーを片付け終わった兵士は近くの椅子に腰掛けた。
「だがな、俺は感じるんだ」
下を向き続けていた顔を挙げ、薄暗い部屋で鋭い眼光を覗かせた囚人。
「な、何がだ?」
その威圧感に若干押された兵士は、気づかれないように気にしていない風に言葉を紡ぐ。
「もうすぐ戦争が起こる。未だかつてないほどの大きな戦争…そうなっちまえば俺はここから出られるだろう。いや、国が俺を出さざるをえなくなるの方が正しいか」
鋭い眼光のまま表情を崩して笑う男を不気味に思う兵士であるが動じない。長年の付き合いはそんなことも慣らしてしまったのだ。
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