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「ふぅ~、久々に解放されたな。おぉ~痛ぇ痛ぇ」
解放された両手をヒラヒラと動かし、準備体操を行う囚人。その横で兵士は落ち着きなく身体を震わせている。
「少しは落ち着けよ。そうだ、俺の魔武器を取ってきてくれ。丸腰じゃあさすがに辛い…場所はお前しか知らないんだしな」
「わ、分かった!」
牢屋を抜け、全力で掛けて行く兵士を尻目に男も牢屋の外に出た。先程まで兵士が座っていた椅子に座ると、大きな欠伸を1つ。
「持ってきたぞ!」
息を切らしながら兵士が手にしているのは二本の剣。鞘はなく柄も刃も漆黒の武器。
「おう、サンキュー。シャハハハ!久しぶりの相棒だぜ!」
囚人は自身の魔武器を受け取ると何度か振って感覚を取り戻そうとしていた。
その姿を見て、多少は安心した兵士はここまで来るために使う1本道の先を見据えた。そのために…男に背を向けてしまった。
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