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声のする方に顔を上げる。
そこには金髪で、
スーツ姿の青少年。
まさか………
でも、確かに写メと同じデザインのスーツ。
話では髪を染めたと言っていた。
だとしたら
「名無し……さん?」
その問いに、彼は軽く笑っただけだった。
「誰だよお前!」
「この子の彼氏。俺のだから触らないで貰えませんか?」
ギロリと睨みつけると二人は一歩下がり、文句をいいながら逃げていく。
「……遅いです」
元はといえば待たせたあなたが悪い。
「本当に申し訳ないです。」
「敬語、いりませんよ。」
「え……ああ、ありがとう。じゃあ夢、さんもタメ口で」
あっさりタメ口の関係になってしまった。
それよりも名乗ってって話なんだけどね。まあいっか。
「ありきたりなナンパだよね、さっきの。人違いしたふりして口説くとか」
あれ、わざとだったんだ。
妙にできすぎてると思ったら。
「はは…今わかったみたいな顔してる。夢さんって真面目なんだ。」
「さっきみたいなナンパ経験があるような口調…」
「まさか」
彼はまた笑った。
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